叫ぶと同時、携帯は彼女の手を離れ、パシャン、と音を立てて池に落ちた。
「携帯がなければ私がやったという証拠も残らないわ」
 クスクスと笑っていたそれは高笑いへ変化する。
 そのとき――。
「さぁ、それはどうだろう? 目撃者がいれば別だと思うけど?」
 ツカサっ!?
 振り返ると太い木の陰からツカサが現れた。
 ツカサの背後にはハンディカメラを持った警備員さんもいる。
「目撃者はふたり。そして、証拠の動画。これだけ揃っていれば申し開きはできないと思うけど」
「司様っ――」
「翠には手を出すな。そう牽制してきたつもりだったが、そんなこともわからなかったのか?」