「彼女が御園生翠葉嬢。写真では見たことあると思うけど、これが実物」
 秋斗さんに紹介され、私はパソコンの前に立たされた。
「御園生翠葉です。あの……お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします」
 腰を折ると、
「お嬢様、頭をお上げください」
 藤守さんに言われた。
「これは我々の仕事です。そのように頭を下げることはおやめください」
「……警備の方々はお仕事かもしれません。でも、私にとっては守られていることに変わりはありません。だから、せめてご挨拶とお願いだけはさせてほしいです」
 藤守さんは困った表情で秋斗さんを振り仰ぐ。
「武継さん、諦めて? この子、こういう子なんだ」
 秋斗さんは藤守さんの懇願の目を笑ってやり過ごした。