居たたまれなくなった私は、
「お茶を淹れてもいいですか?」
「翠葉ちゃんが淹れてくれるお茶を飲むのは久しぶりだね」
 快諾してくれた秋斗さんはダイニングのスツールに腰掛けた。
 背中に張り付く視線を感じつつ、私はいつものようにお茶を淹れる。
 けれど、緊張しすぎていたのか手元が狂った。
「きゃっ――」
 見事、お湯が手にかかってしまい、熱さに声をあげる。
 秋斗さんにすぐ手を取られ、簡易キッチンの水道で流水に左手をさらされた。
 この時期の水は十分すぎるほどに冷たい。
 その冷たい水に秋斗さんの手もさらされていた。