どれだけゆっくり歩いていても物理的距離は変わらない。
 気づけば、あと二メートルで図書棟の入り口だ。
 一瞬、もう一周してきちゃおうかな、とも思ったけど、それはなんとか思いとどまることができた。
 こうなったら勢いをつけて入ろう。
 私は歩幅を広げズンズンと歩き、セキュリティの指紋認証をパスした。
 図書室には誰もいない。
 ガラン、とした広い図書室を見渡しカウンター内に入る。
 突き当たりのドアにたどり着くと、緊張しながらインターホンを押した。
 すぐに応答があり、分厚いドアがスライドする。