一昨日と比べると格段に調子がいいのがわかる。副作用のつらい時期は抜けた。
 けれど、痛みがこないという保証はない。
 だめだ――。
 弱気になっちゃだめ。
 絶対に守りたいものがあるから、だからがんばれる。

 出勤前の湊先生から一言。
「栞のいる時間帯ならひとりでお風呂に入ってかまわないわ。ただし、長湯は厳禁。それが守れるなら入って良し」
 びっくりして返事をできずにいると、
「返事っ」
 と、頬を引っ張られた。
「はいっ」
「よしっ! さっぱりしてきちゃいなさい」
 湊先生は笑顔で蒼兄と家を出ていった。
 食後休みで横になっているとき、昨日あったことを思い出すだけで頭痛が起こりそうな気がした。
「……こういうときは寝る、かな?」
 苦笑を浮かべつつ、身体も頭も休ませることにした。