光のもとでⅠ

 あのとき、私が何を考えていたかなんて、その場にいた人ですらわからなかっただろう。
 わからなくて、知らなくて当然なのだ。
「栞さん、秋斗さんのこと――」
「あのときは感情的になっていたけど、もう大丈夫よ。……翠葉ちゃん、お茶を飲もうか」
 栞さんは柔らかな笑みを浮かべ、私はその表情に安心してこくりと頷いた。
 ふたりでお茶の用意をするのは久しぶりのことだった。
 幸倉の家ではよくやっていたことなのに。
 ふたりともダイニングに移ってラグに座る。
「実はね、あのあと昇に怒られちゃったの」
 栞さんは肩を竦めた。