光のもとでⅠ

「胃の状態が良くない。それからストレスの脈もマックスだ」
 先手を打たれたと思った。
 先生は私に大丈夫かどうかを訊く代わりに身体に訊いたのだ。
 私はそれには何も答えず、
「藤原さんにも伝えたいのだけど、どこへ行けば会えますか?」
 八月に退院してから藤原さんに会ったのは一度だけ。
 婦人科へかかったときだけだった。
「あぁ、あれは特殊なところにいるからな。藤原には俺から伝えておく」
「お願いします……。今日はそれを伝えに来ただけなので帰ります」
 ほかに何を訊かれるとは思っていない。
 でも、相馬先生の視線を受けるのは少し怖かった。
 だから、私は先生の返事を待たずに身体の方向を変えた。