目を見開きながら、
「いつ……?」
「いつ思い出したのかはわかりません。でも、気づいたのは先日退院した日。ゲストルームに戻った日です」
「そうだったのか……」
「もっと早くに話せるはずだったのに、心配かけたままですみませんでした」
「いや、いいよ……。思い出してから混乱したことだってあるだろうし」
 昇さんは注射器をトレイに置くと、私と目線を合わせるために廊下にしゃがみこんだ。
「大丈夫か?」
「大丈夫です。マンションに帰ったら栞さんにも話さなくちゃ」
 私は湊先生に話したことと丸きり同じことを昇さんに尋ねた。
 すると昇さんは笑う。