今日は昇さんかな。それとも久住先生かな。
 そんなことを考えながら、目に飛び込むグリーンカラーを見つめる。
 床の緑が白い壁と天井に反射して、空間を緑っぽく見せているのだ。
「待たせたな。治療始めるぞ」
 現れたのは昇さんで、その後ろから背筋がすっとした看護師さんがカートを押してきた。
「調子はどうだ?」
「痛みはあるけど薬でなんとかなる範囲です」
「そうか……」
 昇さんは何か言いたそうだけれど、その先を言わない。
「なんですか?」
「……こういうのは俺らしくないか」
「はい」
「即答だな、をぃ……」
「だって……」
「まぁ、いい。……翠葉ちゃんはさ、痛みに慣れすぎてるっていうか、我慢することに慣れすぎてるから、時々その言葉を信じていいのかに悩む」
 言いながら、昇さんは痛む場所を確認しながら消毒をしては注射を打ち始めた。