病院に着くと、私が来ることを事前に知っていたであろう警備員さんがエレベーター脇に立っていた。
 私がエレベーターに乗ると、自然な動作で同乗する。
 十月から意識して警備員さんを見てきて気づいたこと。
 エレベーターに同乗する人はいつも決まった人だった。
 決まった人はふたりいて、そのふたり以外の警備員さんが同乗することはない。
 本当に、いたるところで私は守られていた。
 手術フロアに着くと、私は警備員さんに会釈してエレベーターを降りた。
 手術室付近の廊下はすべてクリーンエリアになっているため、自動ドアの手前にあるロッカールームで術着に着替え、靴は除菌済みのサンダルに履き替える。
 そうして中に入ると看護師さんに出迎えられ、私は廊下の一角にあるストレッチャーに案内される。