「結婚式の招待状よ」
「あ……」
「翠葉だけは手渡しでって思っていたの」
 先生は私の隣に座り私の手を取る。
「静に聞いたわ。……私たちと関わる道を選んでくれてありがとう」
 手をぎゅ、と握られた。
「……ありがとうなんて言われることじゃないです。私が手放したくないだけだから」
「それでも、私たちは嬉しいのよ」
 湊先生は今まで私に見せたことのない複雑な表情をしていた。
 きっと、「人と付き合う」ということにそれだけ神経を使わなくてはいけない環境にいるのだろう。
 私の乏しい想像力では補えないほどのものを抱えていて、それはこれからも変わらないのだ。