光のもとでⅠ

 けれども私の正面には人が立っていたため、その窓を見ることはできなかった。
 肩越しに背後の窓を見てみたけれど、隣に座っている人と目が合ってしまって長く見ていることはできなかった。
 ザワザワガタンゴトン、ザワザワガタンゴトン――。
 電車の音を聞いていると、車内アナウンスが流れた。
『藤倉、藤倉です。各駅電車との待ち合わせをいたします』
 帰ってきた、藤倉に――。

 藤倉の駅を出てウィステリアホテルと駅の中間くらいにある美容院へ向かう。
 美容院はホテルとは反対側の通りにあるため、来たときとは反対側の歩道を歩く。
 車道は昨日と同じで車のランプたちがとても賑やかだった。
「あ、翠葉ちゃんっ!?」
 振り返ると、ドラッグストアから出てきた小宮さんが駆け寄る。