光のもとでⅠ

 通話を切り、電車を待つ人の列に並ぶと、先頭の人から三番目だった。
 まだ暗い車内の電車が到着すると、ドアが開くと同時に照明が点いた。
 車内からは、外よりも少しあたたかな空気が流れてくる。
 照明は点いていなかったけど、人を迎えるための準備はすでに整っていたのだ。
 座席に座るとお尻があたたかかった。
 それと、足元から吹き出す暖気がとてもあたたかかった。
 脱いだコートを膝の上に乗せ、さらにその上にバッグを置く。
 ここから藤倉までは二十分ほど。
 あと少しで藤倉なんだ……。
 普通列車は特急列車と違って窓からの風景を見ることはできなかった。
 何しろ座席の配置が違う。
 自分側の窓には背を向けて座るため、見ようとするなら正面の窓から。