光のもとでⅠ

「優しい兄に怒鳴られるほどひどいことをしたと、今ならわかります。でも、そのときはそれが最善の方法だと思っていました」
 人を傷つけたくないというのは建前に過ぎず、本当は自分が傷つきたくなくて、自分が楽になるための最善の方法だった。
 呼吸が乱れないよう、深く呼吸をして息を整える。
 朗元さんは話の腰を折ることなく聞いてくれていた。
 そのあとも、私は過去の出来事をひとつひとつトレースし、起こったことすべてを言葉にしていった。
 記憶をなくすことになったいきさつも何もかも。
 すべてを話し終えたとき、確認のように尋ねられた。
「記憶が戻ったときに好きだった人間が違った……か」
「はい」
「じゃが、今はその先輩とやらと想いが通っておるんじゃろう?」
 言われて、胸がぎゅっと締め付けられる気がした。
「でも、付き合っているわけではありません。ただ、互いを好きだと知っただけです」
「今度はその手を取らぬつもりか?」
「はい……」