私は大まかに概要を説明しようと試みた。
「高校生になってからふたりの人に出逢いました。最初に惹かれたのは一学年上の先輩かもしれません。でも、私が初めて『好き』と認識したのは九歳年上の人でした。その人も私のことを好きと言ってくれたけど、そのときは幸せを手に入れるのが怖くて、その手を取ることができませんでした。……それが、朗元さんに初めてお会いしたときに相談した内容です」
「ふむ」
「私はその人の手を取ることはなかったけど、その人はとても優しくて、とても大人で、私の気持ちを汲んでくれました」
「それは付き合うには至らなかったということじゃろうか?」
「えぇと……最初はお断りしました」
「最初は……? それはどうしてかの?」
 朗元さんは詳しく話すように、と合いの手を入れてくる。
 私は少し考え、結局は自分も簡単に話すことなどできないことに気づいた。