冷えからきている頭痛も頭を洗うことで解消され、足の痛みも腕の痛みもずいぶんと軽減された。
 お風呂から上がり髪の毛を乾かし洋服に着替える。
 必要最低限のものだけをバッグインポーチに入れ部屋を出ると、先ほどの女性従業員が廊下で待っていてくれた。
 フロントまで案内されると、案内役は木田さんに引き継がれる。
「お嬢様が朗元様とお知り合いだとは存じませんでした」
 木田さんは朗らかに笑う。
「朗元さんはこちらによくいらっしゃるのですか?」
「頻繁にお越しいただくわけではございませんが、陶芸用の粘土を作っている工房がこの近くにありますので、そちらにお越しになられた際にはお立ち寄りいただいております」