「あのとき悩んでいたものは解決できたのかの?」
 ビー玉みたいにきれいな目で顔を覗き込まれると、心の中を見透かされてしまう気がした。
「たぶん……まだ、同じ場所にいます」
「ふむ……欲しいものには手を伸ばせぬか」
 私が欲しいものはなんだろう……?
 頭が飽和状態で何に悩んでいるのかすら明確になっていなかったことに気づく。
「さくっと訊いてしまおうかの? 何に悩んでおるんじゃ?」

「……朗元さん、私は何に悩んでいるのでしょう?」
「ほ?」
「っ……すみません。あの、色んなことを思い出したらそれだけでいっぱいいっぱいになってしまって――」
 記憶が戻った時点ですでにキャパオーバーだったのだ。