「あの、滑りませんでしたか?」
 朗元さんは得意そうに答えてくれる。
「わら草履はこういう場には最適での。この程度なら問題なく歩けるわい」
「でも、木の根っこがとてもゴツゴツしているし……」
「ふぉっふぉっふぉ、そんなの慣れとるわ。わしの日課は山歩きなんでのぉ」
 寒さも吹き飛ぶような笑い声だった。
 山歩きが日課なら、この程度の木の根はなんてことないのかもしれない。
「わしもそのラグにお邪魔してよいかの?」
「あ、どうぞっ」
 ラグはふたりで座ってもまだ余裕がある。
 私たちは並んで座り、電気毛布を膝にかけ背中に羽織った。