「どうしても森へ行きたくて……」
「……寒さは身体にこたえるのではないですか?」
「薬は余分に持ってきています」
 そういう問題じゃない、わかってる。でも――。
「かしこまりました。ご用意いたしますので、それまでは館内でお待ちください」
「わがままを言ってすみません」
「いえ、お気になさらず、どうぞ冬のブライトネスパレスをご堪能ください」
 一時間弱ほど私の朝食に付き合ってくれた木田さんは、ダイニングテーブルを片付けると、来たとき同様カートを押して部屋をあとにした。