寝室は暖房が入っていて二十度くらいに保たれている。
 でも、私がいる窓際はきっともう少し低い。
 私はお布団に潜り込み、窓から見える空だけを見ていた。
 目が慣れてくると暗くは感じない。
 視界の左側に見える白樺は、樹皮がきちんと白っぽく見える。
 夜空をバックにすると、枝は黒っぽく見え、空は絵の具の「藍」を濃く溶いたような色に見えた。
 そこにキラキラと瞬くのは星……。
 目を閉じ、四月からの出来事すべてを思い出す。
 映像が流れていくよりももっと緩やかに、鮮やかな色彩に感情を交えて思い出す。
 そうしていると、秋斗さんの問いかけばかりが頭に浮かんだ。