「こちらのチェストの中にはお着替えが入っております。何かございましたらフロントか私の携帯にご連絡ください」
「はい……」
「……心細いですか?」
今日二度目の質問だった。
「……心細くないと言ったら嘘になります」
「私でよろしければこの場に留まりますが……」
「――いえ。ひとりになるためにここへ来たので、ひとりになります」
木田さんはしわくちゃの手を私の頭に乗せ、ゆっくりと優しく撫でてくれた。
「あまりご自分を追い詰めてはいけませんよ」
泣きそうになるのを必死で堪える。
「木田さん、今日はありがとうございました。おやすみなさい」
「……ごゆっくりお休みください。明日の朝食はこちらへお持ちいたしましょう。何時ごろになさいますか?」
「……七時半にお願いします」
「かしこまりました。それでは失礼いたします」
ドアは音という音を立てずに、す、と閉まった。
「はい……」
「……心細いですか?」
今日二度目の質問だった。
「……心細くないと言ったら嘘になります」
「私でよろしければこの場に留まりますが……」
「――いえ。ひとりになるためにここへ来たので、ひとりになります」
木田さんはしわくちゃの手を私の頭に乗せ、ゆっくりと優しく撫でてくれた。
「あまりご自分を追い詰めてはいけませんよ」
泣きそうになるのを必死で堪える。
「木田さん、今日はありがとうございました。おやすみなさい」
「……ごゆっくりお休みください。明日の朝食はこちらへお持ちいたしましょう。何時ごろになさいますか?」
「……七時半にお願いします」
「かしこまりました。それでは失礼いたします」
ドアは音という音を立てずに、す、と閉まった。


