光のもとでⅠ

「ご家族にご心配をおかけするのはよろしくありません。連絡は入れましょう」
「あの――両親の前に唯兄にかけてもいいですか?」
「若槻くんですか?」
「はい……。実はホテルで一緒だったんです。そのあと、自分勝手に動いてここまで来てしまったので……」
「それでしたら先に若槻くんへかけましょう。私は念のために静様へ連絡を入れます」
 私たちは各々の相手に連絡を入れた。
 GPSが起動しているとはいえ、さっき少しバイタルに変化があった。
 さらには着信を無視してしまった。
 私は怒られることを念頭に唯兄へ電話する。