光のもとでⅠ

「あの、ずるい自分をお見せしてもいいですか?」
「かまいません。ゆっくりお話ください」
「……私は考えることを先延ばしにするために、もっともらしい理由を用意しました。そして、その理由に託けて順位までつけました。私は考えなくてはいけないことを最下位にしたんです。でも、仕事が終わったら、最下位にあったはずのものは最上位に来てしまって――」
 そこまで口にして言葉に詰まる。
 本当はわかっているのだ。
 今の私は現実から逃げていて、もっと遠くに逃げてしまいたくて反射的に木田さんを追ったことも。
 わかっているのに口にできない。