光のもとでⅠ

 私はその場にしゃがみこむ。
 緊張の糸が切れるとはこういうことを言うのだろう。
 携帯がつながったことに安堵し、木田さんの声に心底ほっとした。
 藤倉の駅から緊張の連続で、コートを脱ぐことなく暖房のきいた車内に十五分近く立っていたのだ。
 普通に考えて、自分の状態があまりいいものでないことくらいはわかる。
 携帯のバイタルに目をやると、血圧数値が下がり脈拍が上がっていた。
 唯兄に連絡しなくちゃ……。
 そう思いながら携帯を眺めていると、上から声をかけられた。
「ご気分が優れませんか?」
 その声はさっき携帯から聞こえてきた声と同じもの。
 顔を上げると木田さんが私の前に膝をついたところだった。