留守電だったらどうしようかと思ったけれど、携帯からは駅構内と思われるアナウンスが聞こえてくる。
携帯がつながったというのに私が何も話さないものだから、逆に木田さんから問われる。
『……どちら様でしょうか?』
「あのっ、御園生翠葉ですっ」
『お嬢様でしたか。どうかなさいましたか?」
木田さんはこちらを気遣うように優しく話しかけてくれる。
「あの、今、同じ駅にいて……」
同じ駅にいて――だからなんだというのか……。
『同じ、と仰いますのは、支倉駅にいらっしゃるということでしょうか?』
周囲を見回しても駅名が書かれている柱は見当たらない。
けれども、木田さんの携帯の後ろで流れているものは、今自分が耳にしているアナウンスと同じものだった。
携帯がつながったというのに私が何も話さないものだから、逆に木田さんから問われる。
『……どちら様でしょうか?』
「あのっ、御園生翠葉ですっ」
『お嬢様でしたか。どうかなさいましたか?」
木田さんはこちらを気遣うように優しく話しかけてくれる。
「あの、今、同じ駅にいて……」
同じ駅にいて――だからなんだというのか……。
『同じ、と仰いますのは、支倉駅にいらっしゃるということでしょうか?』
周囲を見回しても駅名が書かれている柱は見当たらない。
けれども、木田さんの携帯の後ろで流れているものは、今自分が耳にしているアナウンスと同じものだった。


