テーブルに着くと、
「起きれるようになったって聞いていたし、お昼にはアンダンテのタルトを食べたって聞いていたから、今日は普通のスープにしてみたんだけど……どうかしら? 食べられそう?」
「栞さん、ありがとう。食べてみます」
「無理はしなくていいからね」
 と、栞さんは笑顔を返してくれた。
 みんなにはハンバーグとサラダ、それから私と同じ固形の野菜が入っているスープが並ぶ。その中で驚いたのは美鳥さんの食べる分量だった。
 海斗くんと同じ分量が盛り付けられている。
 でも、ロッククライマーというくらいだし、あの筋肉を維持するためにはそのくらい食べなくてはいけないのかもしれない。
「あぁ……これから帰ったら徹夜なのだよ」
 食事が終わったあと、テーブルにうな垂れる。
「しかし、その前に人との会話という貴重な時間を得られて良かった」
 と、私に視線を向ける。むくり、と起き上がると、
「栞くん、実に美味しい夕飯であった。申し訳ないが、片付けはせずにお暇するとしよう」
「そうしてください。美鳥さんの握力にかかったらうちのお皿が全部割れちゃうわ」
 コロコロと笑いながら栞さんも席を立つ。
 私も見送りに行きたくて立とうとしたら、隣に座っていた司先輩の手が伸びてきた。