会議室の一角にはウォーターサーバーと給茶機のほかに、業務用のコーヒーメーカーが設置されていた。
 園田さんがそちらに向かったので、私も席を立ちあとを追った。
 私に気づくと、園田さんはティーパックが入った小さなバスケットを見せてくれた。
 そこにはカモミールやラベンダー、あらかじめいくつかのハーブをブレンドされたものもある。
 けれど、私はティーパックではなく園田さんの後ろにある給茶機が気になっている。
「あの、麦茶……」
「え?」
「給茶機に入っている麦茶をいただいてもいいですか?」
「給茶機、ですか?」
「はい。あの……給茶機を使ったことがなくて、ボタンを押してみたいなって……」
 小さな声で言うと、園田さんはクスリと笑った。