園田さんがにこりと笑うと、「じゃ、開けるよー!」と唯兄が重そうなドアを開いた。
「姫、入りまーすっ!」
 その言葉にぎょっとする。
「ゆ、唯兄っ!?」
「ここの人たち、長い名前で呼んだりしないの。たいていは二文字呼び。リィなら姫かリィだろうね」
「え……?」
「お嬢様、とりあえずは中へ……」
 スタジオ内の空気は廊下とは少し違った。
 雰囲気も異なれば温度も違う。
 手の甲や頬がひんやりと感じるくらいの室温。
 室内は暗く、ところどころにスタンド式のスポットライトが置いてある。
 そして、ところ狭しと照明や撮影機材が置かれていた。