湊先生や司とは種類の異なる格好良さ。肉体美とでも言うのだろうか……。
「おや、私の筋肉に目を奪われているようだね?」
 美鳥さんはニヤリと笑う。
「……すごい筋肉ですね」
「そうだろう? 鍛錬の賜物だ」
「……あ、私、御園生翠葉です。今週からこちらのマンションにお世話になっています」
「うむ、噂には聞いていたよ」
 と、ベッドサイドに腰を下ろす。
「で、翠葉くんはなにゆえ篭っているんだい? 今、向こうでは夕飯を食べようかどうしようかとみんなが悩んでいるんだが」
「……あの、私のことは気にせず食べてください、とお伝えいただけますか?」
「そうしたいのは山々なのだが……」
 ぐうううう、と空腹を知らせるには少々威勢のいい音が鳴った。
「失礼、私は腹ペコなのだよ」
 格好いい人が妙に情けない顔で言う。
「ごめんなさい……」
「謝る必要はないのだが、どうして篭っているのかを尋ねても良いだろうか」
「……見られたくないものを見られて恥ずかしいからです」
「うむ……。それで電気を消して暗闇なのか。なるほど」
 美鳥さんはまるで謎解きでもするかのように話を進める。