「今は司っちにも会いたくないんでしょ?」
「…………」
「うん、いいよ、答えなくて。俺を大好きって言ってくれるならいい」
 ぎゅっと抱きしめ返される。
「でも、まず先にお風呂ね。今日は半身浴中にコレを覚えてくるように。上がったらテストするよー。目標は明日の小テスト全科目クリア! んで、気持ちよく仕事に行こうよ」
「唯兄、ありがとうっ!」
 私は唯兄に促されるまま洗面所に押し込められた。
 ルームウェアを脱いでバスルームのドアを開けたとき、インターホンの音が鳴った気がする。
 でも、家に誰もいないわけではないから、私は何を気にすることもなくバスルームに入った。
 出てきたときには世界史と地理に頭の全領域を持っていかれていた。