夕飯を済ませ、食後のお茶を飲んでいるときのこと、唯兄が「あ、そうだ」と席を立った。
 ダイニングから出ていき戻ってきたと思ったら、その手には私の教科書があった。
「今日、仕事の合間にさらっといた」
「え?」
「文系も見られるからわかんないところあったら聞きたまえ」
「嘘……」
 唯兄はにぃ、っと笑って大げさなくらい大きな口で、「ほ、ん、と、う」と答える。
「唯兄大好きっ!」
 唯兄に抱きついたら耳元で囁かれた。