車に着くと、蒼兄がエンジンをかける前に話しかけた。
「蒼兄っ」
「……ん?」
 車の中は風が吹かないからか、外より少しあたたかく感じる。
 そして、無音ではないのに、とても静かに思えた。
「ごめん、心配かけてるよね……」
 蒼兄は何も言わずにシートベルトにかけた手を下ろし、今は足の上で組む両手を見ていた。
「あのね……少しだけ待ってほしいの。今、順番決めたから」
「順、番……?」
 蒼兄の顔がこちらを向く。