「鎌田くん、それは仕方ないよ。鎌田くんと中学の同級生なのに、私がいるクラスは一年なんだもの。クラスを訊かれて、私が一年B組って答えた時点で自分でばらしちゃったも同然。それに、今はそんなに留年したこと気にしてい
ないの。……一年遅れなかったら、私は藤宮にくることはなかったから……。もし、入院しなかったらあのまま光陵高校に通うことになって、中学と何も変わらない学校生活送っていたと思う。そう考えるとね『留年』なんて代償には軽いくらい」
『……御園生も変わったね』
「本当?」
『うん。声に張りがあるっていうか……それだけ充実した毎日送ってるんだなって感じる声』
「……なんだか嬉しいね」
『そうだね』
 話が終わろうとしたそのとき、「また連絡してもいい?」と訊かれた。
「うん。あとでメールアドレスも送るね」
『待ってる』
 携帯を切ったときはすべての緊張が解けいていた。