今日はツカサにも秋斗さんにも会わずにほっとしていた。
 マンションに帰ってきてゲストルームのドアを開けたけど、私を出迎える人は誰もいない。
 ダイニングへ行くと、テーブルにメモが一枚あった。
 メモにはお母さんの字で、「資料を取りに幸倉へ行ってきます。夕飯までには戻ります」と書かれている。
 私は制服を着替えることもせず、乾いた洗濯物の中から秋斗さんのハンカチを見つけアイロンをかけた。
 縁取りがネイビーの白いハンカチを広げ、しわを伸ばしきっちりと半分にたたんではプレスする。
 それを三回繰り返すと、長方形になったハンカチをもう一度たたみ正方形にした。
 まだあたたかいハンカチを小さな紙袋に入れ、手におさまる大きさのカードにお礼を書く。