「あっれー? 何この空気。っていうか、秋斗先生と翠葉ちゃんはお出かけ?」
「彼女、これから病院なんだ。もう時間がないから翠葉ちゃんにはあとでメールを送ってあげて?」
「了解でーす! でもちょろりと口頭で……。翠葉ちゃん、学校印もらえた! 花丸だって花丸っ!」
 久先輩は満面の笑みでファイルの一番後ろを開き、よくある四角い学校印を見せてくれた。
「じゃ、詳しいことはメールでね! いってらっしゃい」
 その勢いに押され、秋斗さんとふたり図書室を出た。
 隣に並ぶ秋斗さんを見ると、「ん?」と優しい笑顔を向けられる。
「あの……」
「どうかした?」
 訊きたいけど訊きづらい。
 でも、今訊かなかったら訊くタイミングを逃がしてしまう気がする。