この日、最悪の飲み会が行われたわけだが、途中からオーナーが加わったことでひどすぎる惨状は免れた。
 けれども、一本の電話がその場の空気を一変させる。
 それは秋斗さんの従弟、楓さんからの電話だった。
 一言で通話が切られた内容とは――。
『翠葉ちゃんのことを思うのなら、しばらく彼女には近づくな』だったらしい。
 深夜遅くに楓さんが電話してきた意味を考えるのも束の間、秋斗さんはすぐに彼女のバイタルを確認する。
 バイタルの履歴をパソコンに表示させると、秋斗さんは絶句した。
 履歴には一気に上昇した血圧数値が表示されていた。
「痛み? 発作……? ……ストレス、か?」
 この場には医療の知識を持ち合わせた人間はひとりもいない。
「明日には私が裏を取ろう。栞か湊に聞けばわかるだろう」
 オーナーがそう言ったけど、秋斗さんは自分で確かめる旨を伝えた。
 ひどく狼狽した顔で。