光のもとでⅠ

「御園生は?」
「あ……えと、行きたい。けど、お母さんに訊いてみるね」
 年末ならお父さんの仕事も一段落している頃だし、お正月は唯兄をおじいちゃんたちに引き合わせるという話も出ていた。
 予定がいまいちわからないからまだ返事はできない。
「うちの実家地下スタジオがあるから、疲れたらそこで休めばいいよ。寝袋とかいくつか用意しておくし」
 佐野くんの気遣いにはすぐに気づいた。
 私が疲れたときのことまで考えて誘ってくれてる。
「佐野くん……ありがと」
「うん、やっぱそう返してもらえるのが嬉しいかな」
「え……?」
「『ごめんなさい』よりも『ありがとう』のほうが嬉しいって話」
 佐野くんはにっ、と笑い、私もつられて笑顔になった。