光のもとでⅠ

 リィは泣き止んだだろうか。
 キス攻めにされただけであの有様だ。秋斗さん、しばらくキスもやめたほうがいいんじゃない? それこそ、手をつなぐところからの相手だと思うんだけど……。
 今じゃ園児だって手つないでキスするご時世なのにな。実のところ、小学生どころか園児にすら負けている気がする。
 それを言うならセリは――セリはどうだったんだろう。
 家族を失ってから三年半か……。
 今でも時間さえあればセリを思い出す。きっと、どれだけ時間が過ぎようとそれは変わらない気がする。
 それに耐えられなくなると女を欲する自分に気づいた。
 気づいたところでどうしたらいいのかなんて知らない。
 何度探しても見つからなかった。どうして遺品の中にアレだけがないんだ……。
 事故現場からも発見はされず、一緒に燃えたのではないか、と警察にあしらわれた。
 確かに、アレだけを手に持っていた、というのは否めなくもない。でも、それで納得ができるわけでもなかった。
 あれほど大切にしていたものを壊してしまうような場所へ道連れにしただろうか……。
 セリ、おまえは両親の思惑になんて気づいてたんだろ? そのうえでその計画に乗ったんだろ?
 なら、どうしてアレを持っていった?
 今でも俺のキーケースには開ける先のない鍵がひとつ、行き場なく、所在なさげにぶら下がっている。
 ベッドに寝転がり鍵を見ていると、秋斗さんが戻ってきた。