光のもとでⅠ

「俺、携帯買ってから上に上がるから、先にこれ持っていって」
 と、駐車場で荷物を渡された。
 そこで別れ、俺は自分にあてがわれている部屋へと戻ってきたわけだけど。
「まずしなくちゃいけないことは蔵元さんに連絡、だよね」
 “ホウレンソウ”――報告連絡相談は社会人の常識。
「蔵元さん、俺ですが……」
『どうかしたのか?』
「あー……俺がっていうか、秋斗さんが、ですかね。今携帯壊れてて連絡つくのパソコンのみなんで」
『……それなんの呪い?』
「えぇと……あるとすれば兄妹の呪いか、低気圧の呪いってことで……。ちょっと俺の手には余るんですが」
『……一時間は耐えてくれ。こっち片付けたらそっちに行くから』
「頼んます」
 こういうときに頼れるのは蔵元さんくらい。まったく困った人だよ……。
 でもま、女漁りじゃなくて良かったけどさ。
 ――ってか、あの人本当に帰ってくるのかな!?
 街に出てそのまま声かけられて成り行きで……とか、なくはないんじゃない?
 なんか一番あり得そうな線で怖くなってきた。
 お願いですから真っ直ぐ帰ってきてください。