「秋斗がさ、『司がようやく同じ土俵に上がった』って言ってたらしいよ」
「詳しくは話さなかったけど、つまりそれってこういうことかしら、と思っただけ」
 俺と同じ顔がさらりとほざく。
 その口元を見て、しまった、と思った。
 今話している内容や同じ顔の唇。
 俺の邪念のみを消去してほしい。
「姉さん、この弟が赤面してますが……」
「貴重だから記念撮影でもしとく?」
「やめろ……」
 そのあと、俺にとって最悪な晩餐になったのは言うまでもない。