光のもとでⅠ

「……本当、に?」
「本当かどうかは心拍数が物語っていると思うし、現時点でこれ以上の証明能力持ち合わせてないんだけどっ!? それに、あの状況でキスされて普通にしてる翠のほうが信じられない」
 余裕がなくなると、自分が饒舌になることを今知った。
 俺の知らない「自分」はあとどのくらいいるのだろう。
 そんな思考は翠の言葉に寸断される。
「全然普通じゃないよ……? ツカサが触れたところだけ妙に熱く感じるし、ただ飲み物を飲んでいるだけなのに顎のラインや喉仏に釘付けになるし、普通に言葉を話しているだけなのに唇が――」
 妙に詳しすぎる説明つきの反論は、途中でピタリと止まった。
 半歩後ろを振り返ると、翠は火がついたかのように真っ赤だった。