翠のいる場所から少し離れたところに身を隠し、秋兄に通信を入れる。
「翠を保健室から地下道に下ろすからあとはよろしく」
『了解。湊ちゃんがまだ残っているから俺から連絡入れておく』
「助かる」
 それを切ると、今度は会長と朝陽に通信を入れた。
「取引しませんか?」
『何? 俺たちに何か得になりそうな話?』
 応じたのは会長だった。
 けれど、通信は朝陽ともつながっている。
 会長が言う「俺たち」を指すもの。
 それは朝陽と会長だけではない。