光のもとでⅠ

 この学園という狭い社会の中にいるからこそ、「藤宮」なんて名前がついて回る。
 それだけなのかもしれない。
 この枠の外には出たことがない俺には知る術もないことだけど。
 その特殊な学園の中で翠は受け入れられたのだろう。
 最初こそ異色な存在として見られていたことは否めないが――。
 無防備すぎる人間や正直すぎる人間というのは、時として苛立ちの要因にしかならない。
 けれども、翠のそれは受け入れられた。
 何にでも正面から向き合おうとするその姿勢に好感を持たれたのかもしれない。
 俺とは正反対の人間。