光のもとでⅠ

 呆れや怒りを通り越すと守ってやりたいと思うものなのか……。
 俺は疑問に思いつつ、夜気から守るように翠をマントで包みなおした。
「隠れる」というのは良策かもしれない。
 自分や翠の体力を浪費することなく、表を探しまわる人間を回避することができる。
 それには衣装のマントが一役買っていた。
 なんで俺が吸血鬼、とは思ったが、今は便利な仮装をさせてもらったと思う。
「黒」――それは何をせずとも闇に溶け込める色だった。

 始めの頃、内進生の目に翠はどう映っていただろうか。
 外部生が珍物扱いされるのはいつものこと。
「嫌がらせ」という洗礼を受ける人間も少なくない。