光のもとでⅠ

 ふたり何も話さない時間が過ぎる。
 一秒一秒、早くも遅くもなく、それ相応の速さで。
 三十秒と経たないうちに翠が口を開いた。
「あのね、少しだけでいいから……。だから、肩、貸して?」
 トン、と少しの衝撃を受けたのは胸――。
 翠、それは肩じゃなくて胸だ……。
 翠は昨日に引き続き、事切れたように眠りに落ちた。
 あどけない寝顔を晒す翠にため息をつく。
 それだけ疲れているということなのだろうが、相変わらず無防備極まりない。