「あの――あのねっ」
「勇気を振り絞って」――そんな話し方。
 そこまで怖がらなくてもいいと思う。
 ある意味俺に失礼。
「昨日も言ったんだけど――」
 俺は言われた覚えはない。
「ツカサが、ツカサが格好良くて困ってるだけっっっ」
 翠はぎゅ、と目を瞑ってそんな爆弾を吐き捨てたあと、背を少し丸めて俯いた。
 身体の両脇に下ろされている手にはこれでもか、というくらいに力が入っている。
 緊張からか、肩もわずかに上がっている始末だ。