ふとテーブルの上にあったメモに目が留まる。
 メモには携帯の番号と思しき数字とメアドが書かれていた。
 名前は鎌田公一――。
「これは?」
 訊かなくても誰なのかは予想がついた。
「翠葉の中学の同級生って子の連絡先。どうやらこの子と話している最中に倒れたらしんだけど、周りの人間が言うにはただ普通に話してただけみたいよ」
 そのときの状況を姉さんから聞き、海斗らしい気遣いだとは思ったが、このメモを今すぐにでも破り捨てたい心境だ。
「感情が顔に出るようになったわね?」
 姉さんに視線をやると、俺と同じ顔が口端を上げて笑っていた。