光のもとでⅠ

 地下道に下りる「扉」はそこかしこにある。
 が、誰もが気づかない。
 たいていはロッカーが入り口になっていたり、消化器の様相をしている。
 そして、それらには「鍵」がかけられている。
 あらかじめセキュリティ登録されている人間なら内外問わずに開錠できるが、表に人がいるかの確認はそれなりの装備をしていないと確認できない。
 手元にある携帯が自分のものであれば廊下についているカメラを経由した映像を見てチェックすることもできたが、今俺の手にあるのは翠の携帯だ。

 俺を出迎えた警備員は昨日奈落で翠を警護していた人間。
 そして、数メートル先の保健室前には学園警備責任者の武継さんが立っていた。