「もし礼をしたいと思うなら、翠の都合がいいときに母さんに会いに行ってやって」
「え……?」
 あ、家って意味深?
 でも、マンションでは互いの家を行き来しているし……。
 でも、実家ともなると別だろうか。
 焦りを覚え咄嗟に言葉を続けた。
「母さん、基本家にひとりでいるから来客があると喜ぶ。ハナも翠には懐いているみたいだから難なく家の中に入れると思うし……」
 俺はどれだけ言い訳を並び立てれば気が済むんだ。