どっちにしろ、翠の願いは聞けない。
「……わかった。でも、そういうのを差っ引いたとして、これを受け取りに来る人間がいる。弁当はそのときに回収されることになっている」
「そうなの……?」
 俺は無言で頷いた。
 それは嘘じゃない……。
 触れるだけで死に至る毒というものが世には存在する。
 そういったものを仕込まれることを避けるための回収作業。
 けど、そこまで翠に話す必要はないだろう。